地球の潜り方

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その53 有名海洋汚染源を初めて見た!

2015年の本部ツアー報告をしばらく前に書いたところだが、今回のツアーでは、これまで教科書の中の世界であった海洋汚染を初めて目の当たりにしたので、このことについて書いてみたい。

本部ツアーのダイビング2日目、水納島付近に着くと、何やら油膜があり、皆で「ずいぶん油膜がありますねー。どうしたんでしょうか・・・」などと話をしながらエントリーした。

エキジット後、ボート上でゆったりしようと思ったら、筆者を含め一部の参加者のウェットスーツなどに油がこびりついているではないか!手で触っても簡単には落ちないものであった。
周囲を見ると、少し離れたところに小さめのピザくらいの黒い塊が浮かんでいるのが見えた。これぞまさしく「廃油ボール」であった。
小中学校の社会科の授業で、海洋汚染として記述されていたものであるし、そのころのニュースで、何処かの島の沖合を油を垂れ流しながら航行している船の写真が紹介された記憶があるが、自分の目で見たのは初めてであった。

ここで、廃油ボールとは何かおさらいしておこう。廃油ボールとは以下のようなものである。

船舶が原油や燃料油(C重油:主に大型船舶の燃料とする粘り気の強い油)を海に排出した場合、原油やC重油の油膜は水面を覆い帯状に流れていく。排出した油は、一部は揮発又は分解するが、油と海水が徐々に混ざり、ムース状になり、長期間漂流するうちに、タール成分が徐々に硬化して固形状の油の塊になる。
(出典:海上保安庁 第十一管区海上保安本部HP。なお、表現はHP掲載文から一部変更。)

ガイド氏によれば、廃油ボールによるを落とすにはKURE5-56のような潤滑・清浄剤をかけるのがよいそうで、このツアーでスーツに廃油が付いてしまった人は、潤滑・洗浄剤をかけて落としてもらったのであった。
なお、潤滑・清浄剤をかければ落ちると言っても完全に落ちる訳ではなく跡が残るので、明るい色のウェットスーツだったら跡が結構目立ってしまうだろう。

この日はダイビング終了後に美ら海水族館に行ったのであるが、展示の中に廃油ボールの説明があった。
これによると、かつてほどではないそうなのだが、今でもまだ廃油ボールの漂着はあるのだそうだ。(インターネットで調べると最近でもあることが簡単にわかる。)

筆者が業務上読む雑誌の中で、沖縄では漂着ゴミ問題が結構深刻であることを暫く前に知ったが、幸いというか、これまで大量の漂着ゴミに海岸で出くわしたことが無い。これは、地元自治体、関係官庁やマリンレジャー関係者の尽力のおかげだと思う。

 

水納島の砂浜(船着き場付近)

水納島の砂浜(船着き場付近)
こんなところに廃油ボールが来るとは!!

 

今回の廃油ボールは、水納島の砂浜のすぐそばである。ダイバーだけではなく海水浴客の着衣にこびりつく可能性は十分考えられる。海水浴客の場合、ダイバーと違って明るい色の水着の人も多いだろうから、もし付着したら一大事である。買ったばかりなのに廃油ボールが付いてしまったので捨てざるを得ないなんてことになりかねない。

ダイバーとしては、髙い環境意識を持って、海洋汚染の原因を作らないようにしたいものである。

=おまけ:ダイバーは準備万端?=
本稿執筆途中に、東北地方某市に出張した。某市の出張当日の予想最高気温は37度であったが、実際はこれを上回り38度になった。筆者の出張場所は市街地から少し離れているのでここまでは上がらなかったと思うが、宿泊ホテルは市街地にあり、夜にホテルに入り夕食をとりに出かけたら、ホテルの周囲はまだ熱風が吹いているのであった。
筆者は寒がりではないが、夏季に長時間飛行機搭乗の場合は必ずウィンドブレーカを羽織ることにしているし、飲食店に行く場合は冷えたビール等の冷えた飲み物を口にすることが多いことと、店自体がかなり冷えていることもあることから、ウィンドブレーカ持参のことが多い。この時もそうしたのだが、これを見た周囲の面々から「えっ?何を持っているかと思ったら、ウィンドブレーカなの?ダイバーってそうなの?すごい準備だね」と言われた。
筆者は「別に皆がこうするとは思わないけども・・・」と返事をしたが、果たして皆さんはどうだろうか。

文責:折原 俊哉(恵比寿潜酔会 懇親会系幹事)

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